「インプラントにおける治癒の病理」講演会

2014年12月21日(日)表記がITDN-Tokyo主催(東京国際フォーラム)にて行われた.「新編治癒の病理」(2011),「やさしい治癒のしくみとはたらき」(2013)著者の下野正基(東歯大名誉教授)先生にインプラント臨床の疑問に答えて頂いた. 

2014年12月21日(日)表記がITDN-Tokyo主催(東京国際フォーラム)にて行われた.

 講演に先立つ打ち合わせにて“貴君(きみ)がボケで私が突っ込む漫才調でやりましょう~!?”と,ご提案を受けた.“ボケる“のは得意なので早速,前振りの症例を探し始めた.

–閑話休題–(–それはさておき–),本会では, 1.顎骨内病変(根尖病変・エナメル上皮腫など)の発生機序と骨内欠損の治癒.2.咬合力とインプラント周囲骨組織として,過度な力が歯周組織に及ぼす変化について.3.インプラントと天然歯周囲組織の防御力の違いなどについて解説された.

⒈ではまず筆者がエナメル上皮腫区域切除後再建移植された腸骨にインプラント埋入した長期経過例と,嚢胞摘出や歯根端切除の骨治癒経過例を供覧し,下野先生にその発生機序と鑑別法,適切な処置と治癒機転を解説頂いた.

2.の力が歯周組織に及ぼす変化については、吉野晃先生(東京都北区開業)が骨は進化の過程で生命が揚陸した際の重力に耐えるためや,免疫機構内包のため役割が多様化した経緯を述べ,力とインプラントの関係について質問された.

3.では先の下顎骨区域切除移植骨症例では歯槽固有粘膜は無く口腔粘膜から直接アバットメントが貫通していることを示し,この部の治癒の機序や,天然歯周囲軟組織とインプラント周囲軟組織の付着の違いについて解説頂いた.

 インプラント周囲上皮の弱点として,内側上皮は非角化上皮から成るので天然歯付着上皮より3倍も遅いターンオーバーであること.CEJが欠如しており接着タンパクは一部のみの発現で弱く,インプラント周囲上皮には歯肉血管叢はみられず,従って歯肉溝滲出液による防御機構も期待できない.歯槽上線維群も部分欠如しており機械的障壁が低いなど.

 また初期の骨吸収(皿状骨欠損)原因として,歯根膜が無く炎症・免疫応答が遅く防御が弱いためや,CEJがないため上皮先端の位置が骨頂の位置によって決まり生物学的幅径にも不利なこと,過度な応力については,矯正治療の知見から穿下性骨吸収(内部骨吸収)により血管のないインプラント周囲骨側からでなく,血管の多い(破骨細胞は循環血液の単球から分化する)骨髄側から短時間で広範囲な吸収を起こすなどが挙げられた.

----恩師である下野先生に講演を依頼するにあたり大学の友達に,その人となりをリサーチした.1. 一流の研究者で紳士である.2. 留学先がミラノでイタリア通.3. 北海道出身のワンゲルOBで日本100名山のうち過半数以上を登破.なるほど!と思わせる反面,自筆の挿絵(シモノ画伯作)を本講演のため,わざわざ画材屋で絵筆を調達して描いていただいた大作を多用しての解説は,我々素人の脳みそに少しでも記憶を残し,今後のヒントを与えたいというパッションを感じた.“ボケる”どころか,講演後も暫くプッチーニの“誰も寝てはならぬ!”が私の頭の中で鳴り続いていた----

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