書評

『世界はシンプルなほど正しい 「オッカムの剃⼑」はいかに今の科学をつくったか』

オッカムの剃刀※1!SF映画“コンタクト”ではジョディ・フォスター※2が、“なにそれ、ホラー映画?”とのたまうが、科学者は万物の本質をこれ使って解き明かしてきた。コペルニクス、ニュートン、ダーウィン、アインシュタインらは単純さに信頼を置き、そこからひらめきを得た。
「現実に対する説明や要素の数は最小限に留めるべき」というのが考えの中核。例えば、父親は父性があるから父親なのでなく、息子や娘がいるから父親だとした。

中世、欧州において「神」を省いて科学を考えることはタブーであった。ウィリアム※1の名前は残っていないが、主張したことは抑圧されながらも人々に種子の様に根付き、ペスト大流行などで「神は救ってくれない」ことに気づいた人々は科学と宗教を切り離すようになる。剃刀が適用されるのは、地動説・量子力学・DNAの発見・生命の誕生などの科学論である。また分子生物学者である著者は、生物進化と自然選択のシナリオを宇宙にあてはめ、ブラックホールを生殖細胞とし、物理定数を遺伝させ、宇宙どうしが淘汰して最も単純になったのが、この世界だと仰天の発想をしている。

※1 ヴィンチは生れ村名のレオナルド・ダ・ヴィンチ同様、14世紀のフランシスコ会修道士、オッカム村のウィリアムにちなんでそう呼ばれる。
※2 カール・セーガン原作(1997年)で地球外生命探査の科学者を演じる、科学vs神がテーマでもある。

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