書評

『感染の法則』

ウィルス感染から金融危機、ネットミームの拡散まで

この夏コロナ7波は、どのような被害をもたらすのか? 再生産数Rの4要因、D(持続時間)O(機会)T(伝播確率)S(感受性)が感染拡大解明の鍵。 伝染プロセスの数理モデルは20世紀初頭のロナルド・ロスから始まった。感染源地点を突き止め・根絶・ワクチンによる集団免疫(人為的)の獲得は、マラリヤや天然痘、エボラ熱などのR数を抑制し、功を奏した!

しかし21世紀、金融危機、犯罪や自殺、Netミーム、PCウイルスやウクライナでのニュース操作までも……感染は拡大し、人々を分断する。上記は、疾病の拡大と収束の数理的カーブにリンクする。 本来、ミームやBig Dataの解析、衛星位置情報を利用した分布図は有益で便利なものとなるはずだった。だが科学的な発見によって感染要因は絶えず変化し、単純化しすぎたスローガンや研究ではコントロールできない。コロナ禍は3年目を迎え、戦争や銃規制は泥沼だ。太古より自然の前で人類はいつも無力だが、自らが創造した悪の文明の感染は、皆が数理テクノロジーを理解すれば負の連鎖をもう少しスマートに解決できるはずだ!!

*4要因DOTS=Duration , Opportunity, Transmission probability, Susceptibility 。天然痘はD=2週 (潜伏期) 間、O=人/人接触が長時間の為、撲滅に成功。*遺伝子が生物を形成する情報であるように、ミームは文化を形成する情報であり進化する。*免疫を持っている人の割合が高い集団では、感受性のある人との暴露率は低く、R数が抑えられ病気の拡大は収まる。ワクチン集団接種は人為的な方法で弱者保護をはかる。

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